書籍案内

独断と偏見に満ちたおりがみ本の書評です。


・「ビバ!おりがみ」  笠原邦彦著  サンリオ

「すべてはここからはじまった」
現在活躍中の中堅から若手にかけての折り紙作家のほとんどが大きな 影響を受けたとする歴史的な書。 折り紙の世界に設計という手法を持ち込んだこと、また、 折り図とともに展開図を併記することにより、 折り紙の構造論を展開するという 当時若手の作家前川淳氏の作品集です。 その当時としてはこのような考え方は画期的なことでした。 それ以前の人も経験的に、ある種の構造が折り紙にあることは 漠然と感じていたようですが、初めてそれが一つの理論として 明示されたのです。 現在からみると、複雑な作品はそれほど多くはないのですが、 その当時は驚嘆したものでした。 この本の最後に掲載されている「悪魔」は、間違いなく前川氏の代表作。
姉妹編として「トップおりがみ」、また、続きの 「ビバ!おりがみシリーズ」として「おりがみ新世界」、 「おりがみ新世紀」、「おりがみ遊面体」などがあります。 余談ですが、私が本格的に折り紙の世界にはまったのは 「トップおりがみ」との出会いからでした。

・「折り紙」  桃谷好英・澄子 創元社

「イメージと創作」「イメージと表現」「イメージと技巧」の三部作。 上に挙げた本の多くが「はじめに設計ありき」的な考え方に 基づいているのに対し、このシリーズは 「まず一歩創作の世界に踏み出してみよう」 という観点からかかれています。 非常に教育的な本で、今までの古典的な作品や創作に 用いられている技法を分析、解説し、さらにそれをつかって いくつかの新しい創作をしてみせる、という形式をとっています。 角をどう折り出すか?という構造的な問題から蛇腹折りの模様で こんなのを折ってみよう、というようなものまで実に多岐にわたる 手法を取り上げていて、いろいろとためになる本です。 私のお気に入りなシリーズです。

・「おりがみランド」シリーズ 誠文堂新光社

これも多くは桃谷氏が担当しています。 作品の分野別に刊行するという形式をとっています。 一冊あたり千円前後というのもお手軽でうれしいですね。 執筆者としては、他に「恐竜のおりがみ1・2」を川畑文昭氏、 ユニット折り紙関係を布施知子氏が担当している (他のは忘れました^^;。)。 お二人ともその方面での第一人者です。 割と初心者から楽しめるようにできています。 凝ったものもありますが、折りが難しいということは あまりないようです。 特に、「恐竜のおりがみ」は複合折りを取り入れることにより 簡易化されていていいです。 「空想おりがみ」よりはるかに 折り紙としての完成度は高いと思います。

・「おりがみ」  河合豊彰 保育社

カラーブックスのシリーズからでています。 折り紙芸術家として身を立てている珍しい人が書いています。 この人は面の折り手として有名で、この本及び続編「おりがみ2」 にのっている「般若」「仏面」などは掛け値なしにいい作品だと 思います。 しかしそのほかの作品は個人的には好きではないです。 河合氏の本では、どちらかといえば古典から創作までカバーしている 「おりがみ入門」の方がおすすめ。 最初の一冊としては最適だと思います。
このほかにもカラーブックスからは折り紙の本が何冊か刊行されています。

ここから、双樹舎、おりがみはうす刊行の折り紙本の案内です。 その殆どは注文販売になっているのでほしい人はがんばってくださいね。

●双樹舎刊の書籍から

・「をる」(雑誌)  双樹舎

1993年に創刊され、この春についに休刊してしまった折り紙の雑誌。
折り紙だけにこだわらず「紙を折る」ことを多角的にとらえていて なかなかにおもしろかった。。 折り紙にしても、歴史的な考察、ディスプレイなどにも凝っていました。 ちょっと読者がついていってないところもあるみたいですが (^^)。
間違いなく折り紙の新しい世代を啓発したという意味でも評価できると 思います (私自身がそうです)。 どちらかといえばマニア系の作品が多いですが、 一度手にとって現在の折り紙界にびっくりしてみるのもいいと思います。
参考までに、バックナンバーの特集をあげておきます。
  • No.1 1993 夏 「特集 古今東西折り鶴絵巻」
  • No.2 1993 秋 「特集1 顔を折る  特集2 折り紙飛行機を飛ばす」
  • No.3 1993 冬 「特集 折る、包む、贈る。」
  • No.4 1994 春 「特集 折り紙空想博物館」
  • No.5 1994 夏 「特集 吉澤章」
  • No.6 1994 秋 「特集 美しき哉、花紋折り」
  • No.7 1994 冬 「特集1 ワザありモチーフ傑作選  特集2 古き雛に思いを込めて」
  • No.8 1995 春 「特集 花咲く折り紙」
  • No.9 1995 夏 「特集 折り紙を遊ぶ」
  • No.10 1995 秋 「特集 折り紙「普段活用」トラの巻」
  • No.11 1995 冬 「特集1 麗しの重ね折り  特集2 インサイド・アウト作品集」
  • No.12 1996 春 「特集1 召しませ、色紙  特集2 インサイド・アウト作品集」
  • No.13 1996 夏 「特集 創作折り紙名作選」
  • No.14 1996 秋 「特集 折り紙インテリア宣言!」
  • No.15 1996 冬 「特集 日本を折る」
  • No.15 1997 春 「特集 シンプルって、何だろう。」
このほかにも、人気の高かった作品の折り図を紹介する 「別冊 折り図集 vol.1、2」がでてます。

・「生命豊かな折り紙」 吉澤章 双樹舎

「創作折り紙に父」とも言われる吉澤章の作品集。
他にもNHK出版などから出している物もあったと思いますが、 最近の物ではこれのみでしょう。 双樹舎(雑誌「をる」を刊行している出版社)からなので、 もっとビジュアルを全面に出した物になるかと思っていたんですが、 そんなことはなくてわりとふつうの折り紙の本です。 もっとカラーページを増やして欲しかったなー。
造形的にはあまり難度の高い物はなく、誰にでも楽しめると思います。 ただ、吉澤さんの作品は、写真などを見て「これはすばらしい」 と思っても、折り図の通りに折っただけではそのすばらしい造形とは かけ離れた物になることが多いので(特にウェットフォールディング で作られている作品)、 本当の意味ではとてもむづかしい折り紙といえるでしょう (ぐらい折りが多いのもその一因でしょう)。 一度折って満足するのではなく、何度も何度も折ることのできる作品、 という意味でも正統派の折り紙なのです。
この人の造形は、特に動物折り紙が優れていると思うのですが、 この本では人物造形が多数収録されていて、特に「花嫁」は すばらしい作品。
また、所々に書かれている作者の折り紙に対する思い入れ、や、 創作についてのヒントなども一読の価値あり。 吉澤さんの人柄が紙面のあちらこちらにちりばめられています。 難を言えば、折り図は紙のおもてうらがわかるように色分けして 欲しかったです。 値段も高めなので、初めての一冊としてはおすすめできません。 そういう意味ではやっぱり趣味本なのかも(^^;)。

・「ジョイ・オブ・オリガミ」  笠原邦彦著  双樹舎

折り紙界の大御所である著者の最新刊。
最近の新境地である「半開き折り」や「織り紙」などが満載の楽しい本。 特に「半開き折り」は最近の設計折り紙が主流となっているなかで 折り数を極力減らし、紙を折ってできる線と面のギラギラするような魅力を 思いっきり引き出していて素晴らしい。 著者の折り紙に対する意見がたくさん載っているので読み物としても楽 しめます (ごたくが多い、とも言う。これは「ビバ!おりがみ」からの伝統(^^;)。

●おりがみはうす刊行の書籍から

・「空想おりがみ」  川畑文昭 おりがみはうす

「ここまでやるか」と言いたくなるような川畑氏の作品集。 空想上の動物と恐竜にモチーフを限定しています。 一作品あたりの工程数はほとんど100を越えています (折るのに2、3時間はかかる)。 折り紙でここまでできるんだよー、と言う意味では興味深いのですが、 個人的にはあまり好きにはなれません。 しかし、巻末付録の「カドを折り出す話」は折り紙設計の 基本理論として有用。

・「ISSEI SUPER COMPLEX ORIGAMI」
             吉野一生 おりがみはうす

独特の感覚とそれを折り紙にまとめ上げる力量で定評のあった 故・吉野一生氏の作品集。
題名にもある通り、とにかく折るのが大変です。 殆どの作品の折り行程が100を越え(鶴ならせいぜい15)、 食べ応えのある一冊に仕上がっています。 かくいう私もまだ殆ど折っていません。 いいんです、折り図を見ているだけでも楽しいんだから...

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